2015年01月16日

【読書感想文】銃に魅せられて。中村文則『銃』

銃 (河出文庫)

中村 文則 河出書房新社 2012-07-05
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by ヨメレバ


「お前もこちら側にくるか?」と薄ら笑いを浮かべて誘いかけてくるような、きもちわるい小説。

中村文則氏のデビュー作である『銃』を、友人が貸してくれたので読んでみた。好きだけど、キモチワルイ小説だったなあ。
ストーリーをざっくり説明すると、ひょんなことから銃を拾ってしまった大学生が、その魅力に取りつかれ、少しずつイカれていく。そんなお話。これを読んだわたし自身が大学生であることと、「銃が好きである」ことから自然と感情移入。分かるんだよなぁ、銃に取りつかれる気持ちが。


小学生の頃、エアガンが好きだった。
そもそもは銭湯に設置されていたガンシューティングゲームがお気に入りだった少年時代のわたし。トリガーを引くと、銃上部のスライドが勢いよくブローバックする、その手ごたえが好きだった。両親に、ゲームをプレイするための100円玉をねだっては、両手を広げてアラレちゃんのようにゲーム筐体めがけて走って行ったものだ。なつかしくて涙でそう。

そこから発展して、エアガンに興味を持つようになる。
3000円程度で買える、「電動ブローバック」システムなるものが搭載されたエアガンがお気に入りで、BB弾を詰めずに空撃ちでブローバックの反動を楽しんでいた。

銃の魅力とは一体何なのだろうか。
いろんな要素はあるだろうが、わたしはそのシンプルさにあると思う。
その形状を見れば、説明されなくとも「しかるべき場所」に指を置けてしまう、洗練されたフォルム。無駄のない美しさと、「それ」が持つ破壊力は、所持者に「力」を与え、精神を高揚させる。

一発、頭めがけて引き金を引けば、いともカンタンに命を奪ってしまえるという「理性を試される」感じ。『銃』の主人公は、その理性と欲求のはざまで揺れ動き続けた。

もしもわたしがひょんなことから「本物」を拾ってしまったとして、その魅力に取りつかれずにいられるだろうか。
銃を撃ってみたいと思わずにいられるだろうか。いつしかその弾丸の「対象」を選び始めたりはしないだろうか。
まがりなりにも銃を好いているわたしとしては、その問いに「ノー」と断言することはできないのだ。それが怖い。それを見せつけやがったこの小説が怖い。


posted by TZ at 16:36 | Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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